2012年6月5日火曜日

冒認意匠に類似する意匠を関連意匠として出願した場合の意匠法26条の2について

受験生の方の疑問等がきっかけになって調べました。

甲が意匠イの創作を行ったところ、乙が甲から不当に知得した意匠イの冒認出願を行った。加えて、乙は、意匠イの類似意匠ロの創作を行い、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠ロの出願を行ったところ、意匠イと意匠ロは登録された。甲が意匠イに係る意匠権を取得するために取り得る措置を述べよ。

という問題のもっともらしい答えは何か。というものです。
・意匠法26条の2第2項の制限により、イに係る意匠権とロに係る意匠権は分離して移転できない
・ロの創作者は乙であるため、ロに係る意匠権は冒認出願の無効理由を有さない
という点が論点になります。

自分なりの正解に到達した後で、検索していたところ「産業構造審議会知的財産政策部会第12回意匠制度小委員会」の資料がヒットしました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_12paper.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou12/04.pdf
冒認者が、真の権利者の意匠に対して創作を施した意匠を本意匠又は関連意匠として追加することによって、移転請求を妨げる場合も想定できる。しかしながら、この場合には、追加した意匠は真の権利者の創作と冒認者の創作からなる共同創作に該当すると考え得るため、真の権利者は、共同出願違反を理由とした無効審判請求により、追加された本意匠又は関連意匠の意匠登録を無効にした後、冒認出願に係る意匠権の移転を請求するといった手段によって、自らの権利を回復することが可能と考えられる。
立法者は流石ですね。問題の事例に(雑に)当てはめると、
ロはイに創作を施した意匠であって、甲と乙の共同創作に該当し、乙が単独でしたロに係る出願は共同出願違反の無効理由(48条1項1号、準特38条)を有する。そこで、甲は、ロに係る意匠登録について上記無効理由を有する旨の無効審判を請求し、ロに係る意匠権を遡及消滅させる(49条)。その後、イについて意匠登録を受ける権利を有する者である甲は、イに係る意匠権の移転を意匠権者乙に対して請求することでイに係る意匠権を取得することができる。
となるかと思います。

参考にさせていただいたページ
http://tmken.blog114.fc2.com/blog-entry-199.html
http://cof01.exblog.jp/14589275/
http://www.westlawjapan.com/column/2011/111017/

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